KDD事件(1979年)で有罪の板野学社長

KDD事件(1979年)で、板野学・元KDD(国際電信電話会社、現KDDI)社長(当時88歳)は一部有罪が確定した。この刑事裁判とは別に、坂野・元社長氏は、板倉宏日大教授(当時65歳)=刑事法専門=を相手取り、民事訴訟を起こした。損害賠償などを求めていた。

板倉宏日大教授の本

判決によると、被告の板倉教授は一審判決に基づいて、著書の中公新書「賄賂(わいろ)の話」(1986年)を書いた。その中で、「(板野元社長が)ハンドバッグや紳士靴など会社業務と関係ないレシートを会社に持ち込んで現金化した」などと記述した。しかし、二審ではこの部分は無罪となった。

板倉宏氏

▲板倉宏・日本大学教授

「高裁の判断は違法」

最高裁判決は「控訴審で覆る前に書いた内容で、名誉棄損の成立を認めた高裁の判断は違法」と結論づけた。そのうえで、「真実と認める証拠がなく、控訴審の有無を踏まえるべきだった」と認定した高裁判決を否定した。

雑誌「SAPIO」でのコメントは損害賠償認める

また、板倉教授は、雑誌「SAPIO」(小学館)の1992年7月9日号のインタビューで「約58億円もの交際費が発覚」などと述べていた。

この部分については、最高裁判決は50万円の賠償を命じた高裁判決を支持した。「板野元社長が乱費したような印象を抱かせる」と認定した。板倉被告の上告を棄却した。

動画

▼軍事転用可能な機材を輸出したとして逮捕、起訴されたものの、その後一転、起訴が取り消された機械メーカーの社長らが国などに対し損害賠償を求めた裁判。