正直驚いています。市民のつくろう会ができると聞いて来ましたが、集まるのは10名くらいかと思っていましたから。呼びかけ人もそうそうたるメンバーです。市民参加の司法改革を実現するためしっかりしたいという思いを強くしました。司法改革は2つの要請からなっています。ひとつは経済界から世界に通用する裁判を外国でなく日本で保障してほしいという市民とは遠いものです。もうひとつの要請は、戦後様々な改革がされましたが、国民主権は名ばかり、その中で市民のための司法にしてほしいという要請。この二つの流れが一つになり司法改革がでてきました。全体的には評価できます。実現する上で市民の努力が実を結ぶかどうか?経済界の要請は進んでいますが、市民が主役の司法にするためには放っておいては実現しません。裁判員検討会が行われていますが、リアルタイム公開が十分なされているとはいえません。市民と離れたところで法律が出来上がるということになりかねません。私が会を応援するというより、市民が先頭に立って、政治家にご指導ご鞭撻をいただきたい。手続が市民に閉ざされていてはいいものはつくれません。つくっていく段階から市民がかかわらないといけないのです。このようにお集まりの皆さんを心強く思っています。活躍を祈っております。
江田五月さん(参議院議員)
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▼裁判員制度 開始から6年、現状と課題(東京MXテレビ)
伊佐千尋さん
世話人を代表して
佐野洋さんメッセージ
司会が代読
吉岡初子さん(主婦連事務局長)
来賓というよりは被告人としてでてきたようです。審議会のいきさつはすべてお話する時間がありませんが、審議会最終意見に不充分な点はたくさんあります。なぜ陪審制度ではないのか?と言われますが、審議会の13人の構成の中でぎりぎりまでやったつもりです。審議会の国民の司法参加の議論では陪審制度は言えない状況があり、いかに陪審制度に近い制度にしていくか譲歩しないようにやってきた。多数決であったら意見が通らないという中で、なんとか粘り強く一致点をさぐりました。審議会の最終意見書は不充分ではありますが、これを出発点として変えさせていくしかありません。今後2年より短い、実質的に今年が正念場です。少しでもいいものにしていくことが課題です。国民の関与の仕方に問題はないでしょうか?裁判員制度は刑事事件の重大なものからとしていますが、まだはっきりとしていません。アンケートをとると自分は参加したくないという答えが多いので、日本の国民は参加したがらないとされています。はたしてそうでしょうか?関心の度合いが違います。それは情報が十分に伝わっていないから身近に感じられないのです。検討会10ありますが、透明度が違います。5つは名前を伏せています。裁判員制度の検討会はそのひとつです.私たちは法案のつめを監視しないといけません。検討会委員が自分の責任として議論に関われない要因があります。司法改革推進本部事務局は検討会委員に「自由に発言してください」と言っていますが、半面、検討会委員の発言が反映されて法律に盛り込まれる保障はないのです。他の法案でも同じことが多いのですが、案をつくる段階になって専門家が中心となって、審議会などでの議論と全然違うものができることがあります。検討会の外側で市民の声を盛り上げて、そういう組織をたくさんつくることが大切です。私たちにとって本当に必要な司法としていくために。私自身も会を作り市民の意見を文書にして出しています。意見がもりこまれる保障はありませんが逆に何もしなければとんでもないものができてしまいます。朝日新聞6月11日付に10の検討会の座長名があがっていました。一般的にはやっと知られた感じです。私は友人から、最終意見書を出したあとに「終わったんだよね」といわれました。これからつくっていかなければならないのに。メディアの役割は重要です。審議会では、最終的に裁判官は裁判員の数倍、という議論をし、最終意見書には、人数比のところで「一般国民が主体的に関与できる」と一応書いています。この裁判員の数について検討会で議論が始まっていますが、四宮先生はご苦労されていると思います。陪審制度に近い数にしないといけないとなると12人。裁判員は裁判官の数倍とのことでかなり幅があります。数は重要な要素です。裁判員の独立評決権も非常に重要です。そのためには、市民が改革の過程に参加して意見を言って行くことが必要です。それから裁判員制度の対象事件も、重大な刑事ということになっていますが、最終意見には「さしあたり」という記載を入れさせました。もっと広い分野に適用する必要があります。敗訴者負担制度についてもぎりぎり譲歩させました。また、まきかえしがあるかもしれません。市民のための司法にするためにいかに内容を近づけるか一緒にがんばりたいという気持ちでいっぱいです。この会が力強い会になると期待しています。
本林さん(日弁連会長)
市民のための裁判員制度つくろう会を結成し、意見をいうことは画期的です。裁判員制度を定着させることに全力をあげます。市民が対等の立場でものがいえる、国民主権を根付かせる意味でも大切です。国民が司法を行政だのみにして50年が経過しました。21世紀は自立して政界や司法の場にいきいきと参加できるようにしないと。裁判員制度をテレビや映画でみるウォッチャーではなく、直接プレーヤーとして表舞台にたたないとなりません。裁判をわかりやすくする。市民的基盤が必要です。私自身、東京三会陪審制度委員会で活動し、H8年にOJシンプソン事件を題材にシンポジウムを開催し、H9年にはデンマークにいき、陪審制度と参審制度をあわせもつ80年の制度を視察して、民主的な国家をつくっていることに感銘をうけました。最高裁判事のなかには裁判員制度は日本の国民性にあわないとネガティブキャンペーンをはる人がいます。入口でとめようとしているのです。2001年NYに視察に行った際、市民の一人として陪審員になった弁護士の話を聞く機会がありました。話を聞くと、「最初はできるか不安で大変だったが、実際には良い仕事をしたと充実感があるため、2回目は喜んで義務をはたしたい」というこたえがかえってきました。日本国民の有能さを詐称してキャンペーンをはるのはおかしいと思います。現在裁判員制度をどんな内容にするかが、検討会で議論となっています。市民の数を多くして対等にするために弁護士会も最大限努力していいたい。検討会では、裁判員制度の人数はコンパクトなものがよい、と主張している人が少なくありません。せめぎあいです。市民の皆さんは組織を大きくして盛り上げていただき、関心をもってほしい。日弁連では6月24日に「司法が変わる、日本が変わる」というフォーラムを開きますので是非参加して下さい。推進本部のHPがありますから市民からの声をメールで届けてください。今はまだ80通しかないそうです。この重要な時期にもっと集中させて意見をぶつけるべきです。これからの活動を期待しています。
四宮さん
6月11日検討会報告―この会の発足を力強く思っています。裁判員制度刑事検討会は2月に第1回が開かれ、今までに4回開催されました。6月から実質的な議論となりました。6、7、9月1回目は裁判員制度について、9月3日は各界のヒアリング(メンバー未定)、10、11、12月は検察審査会改革、来年は制度設計について(期日もまだ)夏までに意見交換をおこない骨組みをつくります。11人の委員が発言していますが、議事録は公開されているのに、名前は非公開です。国民への義務として、透明にすべきです。一部は昨日の新聞報道で名前が明らかになりましたが。7つの柱―裁判員制度と裁判官の役割について、事実認定と量刑を意見交換し、共同しておこなうこと。法律手続についてどこまで権限をもって判断するのか?法律の専門家である裁判官にまかせるべきとしてよいのか?証拠採用についても捜査側に違法事実のあらそいがあるならはいってもらったほうがいいのではないでしょうか。A)構成と評決の方法について、裁判員を何人にするのか大きくわけると2つの考えがあります。コンパクトな数(今の制度のように詳しく判決を書くならこれで)と新しい制度で国民が働きやすい数に(具体的な数は一人だけ5人と言っている人がいるがまだ出ていない)ということ。評決は多数決が多かったです。B)裁判員の選任の仕方について、無作為抽出で。国民主権の精神を明瞭にしている。C)対象事件の範囲について、重大事件としていますが、具体的にはまだです。法廷刑に無期死刑が入っている数は一年間に2000件、裁判官3人でおこなう法廷合議事件を含めると一年間に4000~5000件にのぼります。D)公判手続のあり方について、裁判員も証拠調べをするのか調書ついて議論するのか。E)上訴について、どちらも控訴できる。F)憲法との関係を議論するのか。国民の関心次第。大きければマスコミも大きく報道します。20年前はこんなに早く国政レベルで意見交換する場になるとは思ってもみませんでした。政府が裁判員制度として国民参加の司法をつくることは例えは悪いのですが、女の子を望んでいて男の子が生まれてきたようです。子どもですからかわいいに違いありませんが。自分が身をおきかえて考えると、かわいくないと育てられたらどんなにいやなものか。裁判員制度はねじれた、与えられた制度といわれていますが、私はそうは思わない。吉岡初子さんが今の状況を山の8合目まできたとたとえていましたが、頂きからみるか下界からみるかで違ってくると思います。重要なことは前進するしかないということです。細々としてつらい活動で武器がないたたかいですが、普通の人が権力をもつと意見書は書いています。最高裁は最後まで評決権のない参審制にこだわっていましたが、意見書には反対できません。検討会はかなり幅のある議論をしています。中井検事はこの制度は国民の支持と理解がないと育たないし、耳を傾けなければならないと意見書に書いてあるから思慮しなければならないといっています。この会が発足したことで市民の核ができ、中心として重要な役割をになっていくことを期待しています。熱い思いを日本国中に広げるように模索してほしい。歴史的な意味タイミングに留意していただき前進してもらいたいのです。
滝田氏
つくろう会についての説明―推進本部の不透明な話題、危機感から急遽つくられました。市民の声を出さなければと結成されました。時間がなく不行き届きな点は失礼いたします。にもかかわらずこんなに大勢の方にお集まり頂き感謝しております。この会は官僚中心の制度がつくられそうということで今こそ市民の声をと発足しました。官僚村と民間村にたとえると、今のままでは法律は官僚村運用も官僚村に都合のいいものができてしまいます。本来は民間村が主体にならなければならないのに。まかせきりにしていは骨抜きの形式的なものができてしまいます。なんとかして中心は民間村がつくらないと。「市民が大きく声をあげていこう」 このあとは会の目的等を読み上げ説明。全国的なネットワークの展開をしていきましょう。激励の電話が各地から届きました。独立評決制を求めて大きな声をあげる必要があります。
水原さん(日本消費者連盟)
会場発言―昨年「司法と地方自治」という熊本・大篠倉先生の勉強会に参加しました。市民のための裁判員制度つくろう会の発足をうれしくおもいます。陪審制は地方自治です。司法は国だけがやらなければならないのではありません。地方でおきたものは地方でという考え方。地方自治体の仕事になります。アメリカだけでなくイギリスやカナダでもおこなわれています。裁判員制度は本来の姿である陪審制の方へむかっていく基礎になるのではないかと思います。参加市民一人ひとりが意味を考え、自覚を持つべきでしょう。たとえばアメリカの裁判でマクドナルドがやけどの賠償金を2億4000万円払ったのは陪審制度だったからです。社長が裁判の中で1日70万杯のコーヒーを売上げ、やけどするのは1、2件しかない。それは0に等しいと目の前にいる人を切り捨てるような発言をしたため、市民の怒りをかったゆえの金額でした。請求金額は2400万円でしたが、懲罰という意味をこめてです。私は期待をもってこの会のことを考えてます。